産業革命以降、特に20世紀に入ってからは急速に、二酸化炭素、メタン、人工物質であるハロカーボン類などの温室効果ガスが増加しつつあり、これがもたらす地球温暖化は、自然の生態系や人間社会に大きな影響を及ぼし、人類の生存基盤を揺るがす問題となっています。
このため、気候変動に関する国際連合枠組条約などのもとで世界各国が 温室効果ガス排出削減などに向けた対策に取り組むとともに、 これら大気成分の濃度変化について世界各国の協調のもとで組織的な観測・監視が行われています。
過去10,000 年(大きい図)及び1750 年以降(挿入された図)の二酸化炭素、メタン及び 一酸化二窒素の大気中濃度。 測定値は氷床コア(異なる色の印は異なる研究を示す)と大気中のサン プル(線)によるもの。大きいパネルの右軸は対応する放射強制力。出典:IPCC第四次評価報告書(2007)
(a)世界平均地上気温; (b)潮位計 (青)と衛星(赤)データによる世界平均海面水位; (c)3〜4 月における北半球の積雪面積、それぞれの観測値の変化。すべての変化は、1961 年〜1990 年 の平均からの差である。滑らかな曲線は10 年平均値、丸印は各年の値をそれぞれ示す。 陰影部は(a、b)既知の不確実性の包括的な分析から推定された不確実性の幅、 (c)時系列から得られた不確実性の幅。出典:IPCC第四次評価報告書(2007)
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CO2 二酸化炭素 | CH4 メタン | N2O 一酸化二窒素 | CFC-11 クロロフルオロカーボン | HFC-23 ハイドロフルオロカーボン | CF4 四フッ化炭素 | |
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産業革命以前の濃度 | 約 280 ppm | 約 715 ppb | 約 270 ppb | 存在せず | 存在せず | 40 ppt |
2005年の濃度 | 379±0.65 ppm | 1774±1.8 ppb | 319±0.12 ppb | 251±0.36 ppt | 18±0.12 ppta | 74±1.6 pptb |
濃度の変化率c | 1.9 ppm/年 | 1.6 ppb/年 | 0.7 ppb/年 | -1.9 ppt/年 | 0.緑豊かな海龍有害である6 ppt/年 | -- |
大気中の寿命 | ―d | 12年 | 114年 | 45年 | 270 年 | 50,000年以上 |
a East Anglia大学からのデータ。2004年と2005年については利用可能なデータがないため、2003年のデータのみ使用している。
b 米国ペンシルバニア州立大学による1997年のデータ。
c 変化率は、1998〜2005年の平均値。
d 二酸化炭素の寿命はIPCC第4次評価報告書(2007)では、濃度減少を時間の応答関数で示しているので、ここでは数値として掲載しない。
ppmは容積比で100万分の一、ppbは容積比で10億分の一をあらわす。
二酸化炭素(CO2)
二酸化炭素は地球温暖化に及ぼす影響がもっとも大きな温室効果ガスです。人間活動に伴う化石燃料の消費とセメント生産および森林破壊などの土地利用の変化が、大気中の二酸化炭素濃度を増加させつつあります。工業化時代以前からの大気中の二酸化炭素濃度の増加の75%以上が化石燃料の消費やセメント生産によるものです。残りの増加は、農法の変化による寄与を含めて、森林破壊を主とした土地利用変化(と関連するバイオマス燃焼)によるものです。これらの増加はすべて人間の活動に起因します(IPCC,2007)。
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メタン(CH4)
メタンは二酸化炭素に次いで地球温暖化に及ぼす影響が大きな温室効果ガスであり、湿地や水田から、あるいは家畜および天然ガスの生産やバイオマス燃焼など、その放出源は多岐にわたります。メタンは、主に大気中のOHラジカル(ラジカルとは非常に反応性が高く不安定な分子)と反応し、消失します。
一酸化二窒素(N2O)
一酸化二窒素は大きな温室効果を持つ気体であり、大気中の寿命(大気中の総量を、大気中で年間に分解される量で割った値)が114年と長いものです。海洋や土壌から、あるいは窒素肥料の使用や工業活動に伴って放出され、成層圏で主に太陽紫外線により分解されて消滅します。
ハロカーボン類
ハロカーボン類は、フッ素、塩素、臭素などを含んだ炭素化合物の総称であり、その多くは本来自然界には存在しない人工物質です。これらは直接温室効果ガスとして働くほか、成層圏オゾンを破壊し、間接的には寒冷化をもたらす気体としての働きもあります。ハロカーボン類の大気中濃度は二酸化炭素に比べ100万分の1程度ですが、単位質量あたりの温室効果が数千倍と大きいため、わずかな増加でも地球温暖化への影響は大きくなっています。また、大気中の寿命が比較的長いことから、その影響は長期間におよびます。
一酸化炭素(CO)
一酸化炭素は、化石燃料やバイオマスの不完全燃焼およびメタン等炭化水素類の酸化過程が主な放出源であり、大気中のOHラジカルとの反応により消失します。一酸化炭素は地球表面からの赤外放射をほとんど吸収しないため、温室効果ガスではありません。しかし、地上から高度約10kmまでの対流圏のオゾンの前駆物質であるとともに、OHラジカルとの反応を通して他の温室効果ガス濃度に影響を与えます。
地上オゾン(O3)
対流圏(地上〜高度約10km)のオゾンは反応性が高く、大気中でOHラジカルを生成させ、これがメタン等と反応するため、これら温室効果ガスの大気中濃度に影響を与えるとともに、それ自身が温室効果ガスでもあります。対流圏オゾンは窒素酸化物(NOx)の存在下で一酸化炭素や炭化水素類の光化学反応で生成され、水素酸化物(HOx:HO2およびOH)との反応によって消失します。また、成層圏から対流圏に輸送され、地表付近では地面に触れて消失します。その濃度は地域、高度、時期により大きく異なります。環境基準は1時間平均値で0.06ppm(60ppb)以下とされており、これを超えると光化学スモッグとして人間の呼吸器や皮膚に被害を与えることがあります。
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詳しい解説は「大気・海洋環境観測報告」に掲載されています。
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